会長挨拶

2022/04/01

成年年齢を18歳に引き下げる改正民法の施行にあたって

令和4年4月1日
 
      成年年齢を18歳に引き下げる改正民法の施行にあたって
 
                                                                 岡山県司法書士会
                                                                    会長 中村 文彦
 
 令和4年4月1日(金)に「民法の一部を改正する法律(平成30年法律第59号)」が施行されたことにより成年年齢が18歳に引き下げられ、この日の時点で18歳以上20歳未満の方は成年に達することとなりました。
 成年に達し民法における親権の「制約」から外れることは、自己責任に基づき法律行為を単独で有効になしうることを意味します。この法改正は18歳に達した方の自己決定権の尊重や社会参加の促進という意義がある反面、親権による「保護」から外れる年齢が前倒しされるという面があります。改正法の周知期間があったとはいえ、改正法施行時において18歳・19歳の方々あるいは今後18歳に達する方々において、成年に達することの法的意味の理解や心理的な準備が十分だとは必ずしも言えない状況であることが懸念されます。
 岡山県司法書士会(以下「当会」といいます。)においては、今般の法改正につきこれまで種々の啓発活動(市民法律講座「18歳成人待ったなし~トラブルに巻き込まれないために~」の実施、あるいは高等学校・専門学校等に出向いての出前教室の実施など)を行ってきました。
 当会としては、改正法施行後の18歳・19歳の新成年層が法的に不利益な状況に陥ることがないか今後の社会的動向を注意深く見守り、今後も成人に達することの法的意味の周知や消費者被害等の法的トラブル防止のための啓発活動を精力的に行い、また関係機関に対し必要な提言を行うなど、国民の権利を擁護しもって自由かつ公正な社会の形成に寄与する所存です。