お知らせ

2023/04/03

会長声明:所有者不明土地問題に対処するための改正法等への対応について

令和5年4月1日
 
所有者不明土地問題に対処するための改正法等への対応についての会長声明
(相続登記の申請義務化の施行を1年後に控えて)
岡山県司法書士会    
会長  中 村 文 彦
 
 所有者不明土地問題に対処するため令和3年に民法・不動産登記法が改正され、相続土地国庫帰属法が成立しました(本文中「改正法等」といいます。)。この改正法等については時期を分けて段階的に改正内容が施行されることとなっており、第一弾として令和5年4月1日より、改正法等のうち所有者不明土地・建物および管理不全土地・建物についての新たな管理制度、あるいは遺産分割において具体的相続分の主張に期間制限を設ける制度等が施行されます。また、同年4月27日には相続土地国庫帰属法が施行されます。
岡山県司法書士会においては、これまでも市民の皆様に対して改正法等の周知活動を行い、当会所属の司法書士は万全の準備をもって改正法等に的確かつ円滑に対応できるよう努力して参りました。改正法等に係る部分はもちろん、相続登記をはじめとする司法書士業務につき、皆様におかれましてはこれまで通り司法書士を積極的にご活用頂きますようお願いします。身近な法律家である司法書士は改正法等に関し知りたい点などについても相談に応じます。
 
 そして、改正法等の内容のうち特に注目されている相続登記の申請義務化(改正不動産登記法第76条の2)については、その施行日が令和6年4月1日となっており、いよいよ1年後となりました。
 相続登記の申請義務を履行しなかった場合には10万円以下の過料の罰則規定が設けられており、どう対応したらいいのだろうか?申請義務の具体的内容は?など1年後に向けて不安をお持ちの方も多いと思われます。司法書士は、これらの疑問の解決にも対応いたします。
 
 岡山県司法書士会としては、岡山地方法務局および地元各自治体と連携して、引き続き市民の皆様への改正法等についての周知・広報活動を積極的に行っていく所存です。当会の常設の無料相談事業として、WEB相談・電話相談・面談相談を行っておりますので是非ご活用ください。相談会の詳細については、岡山県司法書士会のホームページ(「岡山県司法書士会」で検索願います。)をご参照頂くか、岡山県司法書士会事務局(下記*①)にお問い合わせください。
 
 さて、相続登記の申請義務化の関連で、市民の皆様あるいは自治体担当部門の方にご注意いただきたい点があります。近時、一部の民間事業者がインターネットを介して広く顧客を募り、相続登記申請書の自動作成サービス等と称して相続登記申請書類の収集・作成等を請け負う事業を展開する事例が見受けられることについてです。
登記申請書類の作成および相談業務は、司法書士(あるいは弁護士)という国家資格を持った者でないとなしえない業務であり、違反行為に関しては罰則が設けられています(司法書士法第3条第1項第2号・第5号、同法第73条第1項、同法第78条第1項)。日本司法書士会連合会および当会としましては、こうした司法書士資格を前提としない民間事業者の行為については、国民の利益を損なう司法書士法違法行為である可能性が高いものと認識しています。
この問題については、先に行われた衆議院予算委員会第三分科会にてその違法性を問う質疑がなされています(下記*②)。質疑に対して法務省からは、民間事業者の対応が依頼者に代わって登記申請書類を作成したと評価されるような場合、あるいは依頼者からの相談に応じたと評価されるような場合には、司法書士法に違反する恐れがあるものと考えられるという趣旨の答弁がなされています。
市民の皆様、さらには相続登記促進事業を展開していく自治体におかれましても、こうした民間事業者とのかかわりには十分慎重な態度で臨んで頂きますようお願いします。
 
司法書士法第1条には、「司法書士は、この法律の定めるところによりその業務とする登記、供託、訴訟その他の法律事務の専門家として、国民の権利を擁護し、もって自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命とする。」と規定されています。岡山県司法書士会および当会所属会員は、今般の改正法等の円滑な施行に向けてしっかりと取り組んで参ります。
 
【記】
   *① 岡山県司法書士会事務局 電話番号 086-226-0470
   *② 令和5年2月21日(火)開催の衆議院予算委員会第三分科会における塩崎彰久衆議院議員からの質疑および金子修法務省民事局長による答弁参照
        (衆議院インターネット審議中継ビデオライブラリーにて質疑・答弁につき視聴可能)